特定技能試験合格!ベトナム人学生に聞く。

2018年12月に国会で成立した改正入管法により、新たな在留資格「特定技能」ができました。慢性的な人手不足への対応や、技能実習生による「就労」の不備をカバーするため新たに設けられた就労ビザで、日本で働きたい留学生は要注目です。留学ビザからこのビザに変更するには、特定技能試験に合格すること、日本語能力試験(JLPT)でN4以上に合格すること、企業と雇用契約を結び内定書をもらうことが必要になります。このたび、特定技能試験に合格したブ・バン・ズイさん(浦和校、国籍:ベトナム)に話を聞きました。

レストランを経営する夢! 特定技能ビザで実現したい

Q、特定技能試験に合格した感想を聞かせてください。

A、とてもうれしくて、そして、ちょっとびっくりしました。私は14業種ある特定技能試験のうち「外食業」に合格しました。感激もひとしおです。

Q、試験はどんな内容でしたか。

A、日本における①接客サービス、②衛生管理、③調理知識と3つの内容が出題されました。設問はマークシートによる選択肢でした。

Q、試験に向けてどんな勉強をしましたか。また、どのくらい勉強しましたか。

A、一般社団法人・外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)がインターネットにアップしているテキストを使い勉強しました。担当の先生に該当箇所を印刷してもらい、とても助かりました。勉強時間ですが、2週間に1科目の割合で勉強しました。勉強内容を忘れるともう一度復習しました。インターネットで検索し「過去問」の勉強も行いました。

Q、ほかに勉強の工夫は?

A、勉強はほとんど自宅で行いましたが、アルバイト先も最大限活用しました。牛丼チェーン店の「すき家」でバイトしたことがあるのですが、実はすき家自体が、さながら特定技能「外食業」の見本市で、働きながらテキストの知識を体で覚えることができました。バイトの現場を受験勉強にそのまま使うことができたのです。

Q、そうですか。いろいろと考えながら勉強していたのですね。ところで、どうして特定技能のなかでも「外食業」を受験しようと思ったのですか。

A、私には将来、レストランを経営したい夢があります。日本の接客サービスは世界的に有名ですし、埼玉の西川口で友人がベトナム人向けのカラオケ店と喫茶店を経営しており、見習って自分でも店を開けたらいいなと思うようになりました。

Q、レストランを開きたい夢はいつごろから持ったのですか。

A、ベトナムで高校生のころから、勉強のあいた時間に、自分で飲み物(ミルクティー)を売っていました。このころから店を経営したいと思っていました。

ビザ取得には、N4以上、特定技能試験合格、会社内定が必要

Q、さて、ズイさんは、めでたく特定技能の試験に合格しましたが、これからは、留学ビザから特定技能ビザへの切り替えにむけ準備が必要ですね。

A、はい。特定技能ビザへの変更には、①特定技能試験の合格証、②日本語試験の合格証(JLPT N4以上か、国際交流基金の日本語基礎テスト)、③企業の就職内定書(特定技能雇用契約)が必要になります。

Q、なるほど。

A、私は、特定技能試験に合格し、JLPTでN3も取得しており、気がかりは就職の内定書でした。実は2019年から1年半くらい株式会社LEOCでアルバイトをしており、ここで社員として内定がもらえれば「ラッキー!」と考えたのです。

Q、会社の内定書をもらうのは、特定技能の合格証、日本語試験の合格証とともに、特定技能ビザ変更の大きなポイントですね。

A、そうですね。今回、内定をいただいたLEOCは、病院や福祉施設に給食を提供する会社で、私は主に調理を担当していました。

内定をもらうにはとくに試験はなく、普段の仕事ぶりが内定につながりました。仕事を認めてもらうには、いろいろと苦労もありました。早番のときは午前3時に起きて5時には北赤羽にある職場の病院に出勤しました。調理だけではなく、皿の盛り付け、材料の仕込みやキッチンの洗浄まですべてやりました。辛いこともたくさんありましたが、「これが人生さ!」とがんばりました。

職場には、日本人や韓国人のスタッフがおり、日本語でコミュニケーションをとるようにこころがけました。おかげさまで職場での人間関係はとてもよく、上司に仕事ぶりも認められて、正式に社員として雇用契約をむすび内定をいただきました。5月から勤務する予定です。

みなさんも、企業に内定をもらうためには、上司に仕事ができることを認めてもらうことが必要だと思います。

Q、特定技能ビザへの切り替えにほかに必要なことはありますか?

A、①健康診断を受診すること、②内定をもらった会社から事前にガイダンスを受けること、③在留資格の変更に必要な書類を集める必要があります。在留資格の変更に必要な書類は本人の書類と内定を内定をもらった会社の書類があり、会社が用意する書類は会社の担当者にお願いします。

会社の仕事は、特定技能14業種と同じでないといけない

Q、ほかに注意点は?

A、14業種ある特定技能試験のうち合格した分野の仕事しかできないので注意してください。例えば、「外食業」に合格した場合は、飲食店、レストランなど、「ビルクリーニング業」ならビル清掃、ホテルのベットメイキングなど業種・仕事が限られます。試験の方法や日程はインターネットで検索できます。わからないことがあったら、浦和国際学院の先生に聞いてください。

国民健康保険を滞納していないかチェックを!

Q、特定技能ビザに変更する留学生本人が要件を満たしていることも必要ですね。

A、はい。本人の要件として、①18歳以上であること、②健康なこと、③有効なパスポートを持っていること、④特定技能試験と日本語試験に合格していること、⑤納税義務を果たしていることなど9点ありますが、とくに納税義務を果たしていることは重要です。留学生は日本にいる間に住民税、健康保険料、年金保険料をきちんと払っているかがポイントになります。国民健康保険の支払いはチェックされますので、滞納していないか確認してみてください。

Q、最後に特定技能ビザを取得したい学生にアドバイスをお願いします。

A、特定技能ビザは、留学ビザのように資格外活動で週28時間という労働時間の制限はなく、同じ業種であれば転職も可能です。しかも、特定技能ビザを取得した外国人を雇う企業(受入機関)は、労働基準法や、社会保険・租税に関する法令を遵守することが求められています。

つまり、日本人の社員と同じように法律で守られるのです。このような働き方ができるために、働くことを目的に来日した学生にとって特定技能ビザの取得は大きなメリットがあると思います。これから、日本の企業で社員としてまじめに働きたい人にとっては、おすすめです。

【編集部から】

ベトナム人学生のインタビュー記事、どうでしたか?留学生が特定技能ビザに変更するには、①JLPT N4以上など日本語試験の合格、②特定技能試験の合格、③企業の内定書の3つが必要です。しっかり、おぼえてくださいね。

特定技能ビザには1号、2号ビザがあり、このうち1号は、在留期間は通算で上限が5年、家族の帯同は認めない。受入機関(会社)、登録支援機関による支援が必要。2号は、在留期間は3年、要件を満たせば家族の帯同を認める、受入支援機関による支援の対象外‐になります。

留学生(留学ビザ取得者)は、特定技能1号へのビザ切り替えになります。

以下に特定技能試験の14業種をあげておきます。インターネットでよくしらべましょう。カッコ内は従事する主な業種。

・外食業(調理、接客など)・飲食料品製造業(酒類をのぞく、飲食料品の製造・加工、安全衛生)・宿泊業(ホテル、旅館のフロント業務、企画・広報、接客など)・ビルクリーニング業(ビル清掃)・自動車整備(車の点検整備、分解整備)・電子・電気機器情報関連(機械加工、金属プレス加工、電子機器の組み立てなど)・建設業(左官、鉄筋施工、室内仕上げなど)・素形材産業(鋳造、金属プレス加工など)・産業機械製造業(鉄工、溶接)・介護業(身体介護)・航空業(手荷物、貨物取扱、整備)・造船・船用工業(溶接、塗装、機械加工)・農業(農産物の集出荷、選別、栽培管理)・漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の採捕など)

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